埼玉私立入試の闇
埼玉県の私立入試は、全国でみてもありえない入試体制になっている。
それは、《入試を受ける前に合否が決まっている》ということだ。
このシステムに関して、知らない人も多いと思うので、埼玉県の私立入試のシステムを解説したいと思う。
〇内申・北辰偏差値を取れたら合格
埼玉県内の一部の難関校を除いた私立高校が基準を夏頃に発表する。
その基準を満たせたら、高校の先生から“お約束”(=確約)がもらえる。
その、お約束がもらえれば1月の試験を形式的には受けるが、落ちることは、ほぼない。
親や生徒にとっては、安心して受験でき、私立高校側も事前に生徒の確保ができる。
これほど、Win-Winなシステムは他にないように見える。
しかし、これこそが、埼玉県の闇なのだ。
この闇をちゃんと理解しておかなければなるまい。
○入試を受ける前に合否が決まっている事実
私立を第1志望にする単願者は、そのお約束が貰えてしまえば事実上の合格。私立入試までノー勉でも高校に入学できるだろう。
それが子どもたちに与える影響ははかりしれない。
私立高校には、公立高校に不合格になった併願受験していた子たちも入ってくる。
3月近くまでがつがつ勉強してきた人と数カ月本気で勉強していない人が高校で同じ土俵で勉強していく。差がつかないはずがない。
高校でも結果を出せる人は入試まで全力で頑張り、入学が決まったあとも勉強を継続できる人に他ならない。
私立単願の子はそのことを強烈に意識していないと、勉強でずっと遅れをとる高校生活になるだろう。
〇「私立の対策をするのが塾ですよね??」
とある他県の塾の先生から言われたヒトコトが強烈に印象に残っている。
埼玉県の私立高校は、北辰テストの偏差値と内申点で合否が決まるが故に、埼玉県のほとんどの塾が北辰テスト対策や定期テスト対策に力をいれるが、本番の私立入試の対策はほとんどしない。
たかが模試がここまで重要視されてる県は本当に異例中の異例。
他県ではそれが当たり前ではない。
私立高校の特徴や入試傾向を対策する。では、それの何が問題か。
私立・公立かかわらず様々なバリエーションへの入試をしっかり対策した他県の子と北辰の対策や公立の対策しかしない埼玉の子が、大学受験は同じ土俵で戦わなければならないからだ。
〇北辰テストで偏差値を取る力 = 埼玉公立入試で戦える力 ≠ “本当”の実力
現役進学 |
国公立 |
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川越南 |
8人 |
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伊豆中央 |
25人 |
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現役進学 |
東大合格者数 |
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浦和 |
25人 |
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日比谷 |
49人 |
北辰テストは、北辰図書という一般会社が埼玉県の公立入試の問題を研究して作っている模試である。北辰テストを対策することは、そのまま公立入試対策をしているのとほぼ同義にあたる。
公立入試の対策をできることは、公立高校志願者にとっては、うれしいことである。しかし、同じようなパターンの問題(=公立入試レベル)ばかり対策しているせいで、進学した後の基礎学力に差がついてしまっていると僕は感じている。
試しに、確約制度がない静岡県での偏差値62の伊豆中央高校と埼玉県の偏差値62の川越南高校の進学実績を比較してみた。
合わせて、埼玉県立No.1の浦和高校と東京都立のNo.1日比谷高校の東大現役進学者数を比較ものせてみた。埼玉県は、他県と比べていかに結果を出せない県ということがお分かりいただけるだろう。
これは決して公立に限った話ではない。この諸悪の根源としてあるのが「確約制度」だと、僕は考えている。
〇上には上がある。限界を決めてはならない。
かといって、埼玉に住んでいる以上、この確約制度を利用しない手はない。だから、仕組みは利用したうえで、限界を決めずに、チャレンジする姿勢を忘れてはならない。
ぶっちゃけ北辰偏差値60も、70でさえも実はたいしたことはない(笑)
北辰テストの過去問ばっかり解いても実力はつかない、だから、上位の生徒には難関私立と呼ばれる高校の問題も含む私立高校の問題をバンバン提示していくことにしている。